2012年12月24日月曜日

「へうげもの」(1)~(9) 山田芳裕 著

へうげもの」 山田芳裕 著

 信長、秀吉、家康に仕えた戦国武将?古田織部の話、茶の湯や茶器などの美に惹かれつつ戦国の世を生き抜いていく。そして、巨人千利休に師事し、そこからわび数寄に目覚め「わび」さらには自信の数寄の境地を切り開いていく。前半は千利休の自害という節目である意味完結していると思います。
 ストーリーとしては、戦国時代の常識を逸脱するとっぴな解釈でとんでもない展開が常識なれした身にはとても面白かったです。ありえないと思いつつも妙に説得力のある性格付け、画力でへうげものワールドに引き込まれてしまいます。また、茶の湯、茶器、わび数寄などいままでよく分からなかった価値観を自然と理解することができ、戦国時代を文化面という視点からも楽しめるようになりました。

2012年11月14日水曜日

「三国志」 北方謙三 著

三国志」 北方謙三 著

三国志の小説は多々ありますが、人物描写のリアルさ、特に心の内面描写が非常に現実味があり現代に生きた人物を見てきて書いたようでもある点で非常に面白い。また、武将の能力も非現実的な怪物じみた強さではなく自己及び兵を鍛え上げる努力の上になりたった現実的な力として描かれているところも、現実身を増幅させてよかった。
ストーリーも基本的に三国志のストーリーを忠実に描いている一方で、それぞれの行動の理由付けが心理面から詳細に描かれており、いままで読んだ三国志の小説では説明できていなかった唐突な行動や現象を見事に描いる点で読んでいて関心させられた。そういった点では、三国志のストーリーを知っている人でも違ったまた違った楽しみ方ができると言う点でお勧めできる小説です。